校 長 が ゆ く 真 空 地 帯

かつて、Yahooブログで特撮関連のブログを運営していました。特撮の作品、玩具、イベントについて幅広く掲載しています。かつてのブログで公開していたウルトラファイトも新作、旧作併せて掲載しています。

絶対に他所のバイアスかけてはいけないシン・ウルトラマン感想 前編

「シン・ウルトラマン」見ました。
公開日から鑑賞後まで、ネット上での一切の他者の感想をシャットアウトして
感想を記事としてまとめました。ネタバレ全開。
今回は、前編です。

現在作品は上映中の段階であり、配信・ソフト販売もされていないため、
自宅にて内容の確認が困難な状況で、本記事は作成しました。
細部に異なる認識がある場合も大いにあります。
しかし、本記事は他者の感想の影響を排除し、初回鑑賞時の純粋な作品感想を残す意図もあるため、了承の上、ご覧ください。

1.映画冒頭
「シン・ウルトラマン」最初の大きな見どころは冒頭でした。


シン・ゴジラ」の冒頭は、

東宝マーク(現行)→東宝マーク(昭和時代・南海の大決闘版)→青背景に東宝映画作品(84ゴジラ版と同様の色味・フォント)→タイトル→映倫→船上から流れるように見た海面(初代ゴジラのファーストカットを踏襲)、という流れでした。

冒頭部分について、どういった演出意図が含められているのか、言及した資料や機会は無かったと思いますが、以下のような解釈ができて、マニアとしては特別な意味を持った演出でした。

シン・ゴジラ冒頭シークエンスの解釈>

・現行の東宝マークを出した後にかつての東宝マークが出てくるのは、現行の小綺麗なマークじゃなくて、実際の特撮で製作された、あのギラギラした昭和時代の色彩のマークから映画をスタートさせたいという意思を感じました。映画を現行の東宝作品として公開する以上、現行のマークを使わざるを得ないわけですが、あまりにもその意思が強いため、現行東宝マークをまず表示して(東宝製作作品として、必要な様式を事務処理的にクリア)、映画本編の冒頭映像として必要な昭和時代のマークを表示する、という形となったと推測しています。その結果、世にも珍しい「2回東宝マークが出てくる映画」となったと考えます。

青背景の東宝映画作品も、昭和時代の東宝マークと同様に、ゴジラ映画にはお馴染みのシークエンスです。ゴジラ映画としての様式美を、旧シリーズから守った形となります。

・タイトル、映倫
タイトルと同じ画面上に「映倫」と表示するのを嫌ったため、このような流れになったと推測。

・冒頭の海面から始まる流れは、まさに、初代ゴジラに敬意を表し、その意思を受け継いだ映画というアピール。ちなみに、過去の作品では「ゴジラvsデストロイア」もこの演出を用いています。

シン・ウルトラマンの記事なのに、ここまでシン・ゴジラの話しかしていませんが…。前置きが長くなりましたが、このような前例があるため、「シン・ウルトラマン」も冒頭にこのようなシークエンスが詰め込まれているのではないかと想像していましたが、その通りでした。

東宝マーク→円谷プロマーク→株式会社カラーマーク→ULTRAMAN ブランドロゴ→東宝映画作品→ウルトラQ風に「シン・ゴジラ」タイトル→前ロゴを破って「シン・ウルトラマン」タイトル→映倫→ゴメス登場シーン→・巨大不明生物出現

改めて書き出してみましたが、この時点で訳が分からないような気がします。ULTRAMAN ブランドロゴまでは、作品体裁上の流れで予想はしていましたが、「シン・ゴジラ」を踏襲してまず東宝映画作品 マークを出してきたのは驚きました。この時点で、「シン・ゴジラ」を踏まえた作品となる予想はつきますが、その次が予想外でした。



公開前に、「ウルトラQ風のタイトルで東宝マークを出し、それを破ってシン・ウルトラマンのタイトルが出るのではないか」と予想し、その内容の予想映像付きツイートにも多くの意見を受けました。

初代「ウルトラマン」を踏襲する始まりとするならば、あの始まりを再現するのは間違いないと考えていましたが、ウルトラQに相当する前作品がシン・ウルトラマンには存在しません。そこで、東宝マークを置き換えて、再現するのではないかと個人的には予想していましたが・・・。


まさに予想外の導入でした。確かに、「シン・ウルトラマン」の前作品に相当するものとして、あえて挙げるとすれば「シン・ゴジラ」となるのでしょうが・・・。版権上の問題で、その演出はありえないと無意識に排除していたため、予想することもできませんでした。このために、シン・ウルトラマン東宝の配給としたのかと勘ぐってしまうほどです。加えて、これはウルトラマンシリーズ作品とゴジラ映画の明確なリンクが示された歴史上初めての瞬間ともいえるでしょう。



2.シン・ゴジラとのリンク
公開前から各所で挙げられていたのは、「シン・ゴジラ」と本作品がリンクするのではないかということでした。結果としては、「世界観はリンクしていないが、シン・ゴジラを踏まえた位置づけであることを明確に定義した作品」であったと考えます。


本作は、巨大不明生物がすでに多数出現しており、日本はそれらの脅威と立ち向かい、その過程の中で禍特対が設置されていることを冒頭で提示しますが、この部分は、シン・ゴジラと本作の立ち位置を明確に示す根拠でもありながら、遊び心にあふれたサービスシーンにもなっており、非常に秀逸だったと感じます。


・巨大不明生物第1号がゴメス
・・・ウルトラQを踏襲。ゴメスはゴジラの着ぐるみを改造したものであるというネタを踏まえて、本作ではシン・ゴジラのリデコともいえるバージョン。この時点で「シン・ゴジラ」とは別の世界観であることを示しつつ、ここにゴメスを用いることで、「シン・ゴジラ」と同じような出来事があったことを想像させる演出。

・巨大不明生物大2号マンモスフラワー
・・・ジュランのリメイク。特筆すべきは出現場所が東京駅として描写されたこと。
シン・ゴジラではゴジラが東京駅で凍結される結末ですが、マンモスフラワーが東京駅に発芽した描写をすることで、シン・ゴジラと別世界観である根拠を提示する(マンモスフラワーが東京駅に発芽≒東京駅に凍結したシン・ゴジラが居ないことを明確に明示=シン・ゴジラと別世界観であることの証明)

シン・ゴジラ」のタイトルが冒頭に登場したとき、世界観の共有を期待する観客が一定数発生することは、想像に難しくありません。前提のシークエンスで、形式的にそれは否定されることとなりますが、上記の2要素をまず示すことで、その中で観客が抱く期待を裏切ることなく、サービスするような演出ではないでしょうか。

個人的には、一切のリンクを排除しつつ、過去に似たようなことが起こった世界観として描かれることを予想していました。結果的にそう外していない結果ではありましたが、マニアには嬉しい要素を織り交ぜてそういった処理をクリアするのは、巧いと思います。







ひとまず、前編はこれまでです。
前半どころか、まだロクに本編の内容も触れていないのですが…。最初はこんなペースで書いていたのですが、膨大な量になることを悟ったので、後半は映画全般の内容をポイントを絞った感想を書いていきました。

今回触れた内容を更に発展させて、シン・ゴジラとシン・ウルトラマンの関係性などについても、膨らませていくつもりです。

よろしければ、お付き合い願います。